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3−3.仙台市営地下鉄

目 次
@南北線
 (1)1970年代後半の仙台 〜地下鉄南北線開業前の仙台〜
 (2)南北線の各駅別乗車人員推移の分析
 (3)南北線の設備改良
 (4)南北線の利用促進策
 (5)南北線の延伸問題
A東西線
 (1)東西線の計画から開業まで

@南北線    

 仙台市営地下鉄・南北線は1987(昭和62)年7月15日、八乙女〜富沢間が開業した。その後、1992(平成4)年7月15日には泉中央〜八乙女間 が延伸開業し全線開通した。1日当たり約16万人の利用者があるが、2000年代は利用者の増加が殆どなくなり横這い傾向となっている。南北線1本しかな い片肺状態≠笆k部に利用者が集中する南北格差≠ネど利用者が思うように増えない問題については様々な切り口 で語られることが多い。
 全国の公営地下鉄で唯一、複数の路線を持たず南北線1本だけの仙台市営地下鉄だが、2015年度には東西線の開業が予定されており長年の片肺状態≠ゥ ら脱することになる。そのことによって南北線の利用者が増加することになるのか、仙台市当局の手腕が問われることになろう。地下鉄やJRを軸とした公共交 通網の再編と充実を急ぐ仙台市だが、南北線は仙台都市圏最大の利用者を抱える幹線である。南北線の利便性向上は、東西線やJR線の利用者増加にも大きく寄 与する筈であり、その点からも注目すべき路線である。



(1)1970年代 後半の仙台 〜地下鉄南北線開業前の仙台〜   

 手元に1冊の本がある。大西隆著『地域交通をあるく』(山海堂、 1980年発行)という古い書籍なのだが、仙台市内の某古本屋で手に入れたものである。 その内容は全国各地 の交通問題の現場をとりあげたもので仙台については「地下鉄は切札たりうるか」 という題のルポが所収されている。(ちなみに我が故郷、掛川も「地方の時代の郷 土づくり」 と いうルポが・・・)
 改めてこのルポを読み返し、その他の資料も用いつつ、地下鉄南北線が仙台にもたらしたものを検証してみたい。それは建設中の東西線にも様々な示唆を与え るであろうし、南北線そのものの今後を考える上でも重要だと思う。
 尚、このルポは『自動車とその世界』という雑誌に「地域交通問題の現場から」という題で連載されていたもので、1978年4月号に 「仙台−地下鉄は都市内交通の切り札か」という題で掲載されたものである。

仙台市の 交通問題の焦点は、一言でいえば市内外の「接続面」にある。市内中心 部に立つ限り、少なくとも交通混雑を実感することはで きにくい。戦災復興区画整理によって、市内の街路 が縦横に整備されたからである。(p29)

ボトル ネックは、この中心市街地を取り巻く、戦災を受けなかった地域で ある。つまり、さらにその外周に広がる郊外住宅地から中心市街地へと向かう通勤交通が、 その中間にあたる旧市街地の狭い道路逃げ場のない道路網で完全に マヒし、おびただしい渋滞を繰り返しているのである。(p30)
 現在もこのボトルネックは依然、解消していないと言える。例えば2012年3月に開通した都市計画道路「北 四番丁大衡線」の北山工区は典型的な例で、その前後は広幅員の幹線道路が整備されているのに対し、中間のボトルネックの解消に相当な時間を要した のである。

中心部か らこの地域を通って郊外へ抜ける道路が、本数・幅員ともに不十 分で、交通容量そのものが絶対的に不足していることである。…
…幹線道路ですら、片側2車線以上の幅員を持つのは、最近拡幅を終えた286号線と、清水小路多賀城線の2本だけである。あとは、旧一級国道4号線といえどもやっと変則両側3車線、その他は歩道さえ満足についていない有様である。(p30)

国道286号 根岸町付近(この辺) 2007.5

清水小路多賀城線 新寺付近(この辺) 2009.7

仙台都市 圏では、周辺部と都市部での過疎・過密現象と、都市部内での中 心部と外周部とでのドーナツ現象とが、同時的に進行していたわけである。そしてこの動きをいっそうドラスチックなものにしているのが、住宅団地の急ピッチ な造成にほかならない。(p31)

北部から 西部にかけてやや起伏のある丘陵地帯を埋めつくしつつある団地 群は、東北第一の都市のエネルギーを感じさせるに十分な迫力がある。しかし、内部は整然と区画割りされ、適当に広幅員の道路(開発者負担の都市計画道路が 通る団地もある)が貫通するこれらの団地群も、通勤、通学を考慮した都市交通計画の立場からみれば「欠陥団地」のレッテルを貼らざ るを得ない。
すなわち、団地造成、人口増加に際して、当然必要な中心業務地区への足の確保が全くといっていいほど考慮されていないのである。泉市の団地群の場合、仙台 市中心部へ通じる道路は旧国道4号線だけである。しかも、この道路は変則3車線で、かろうじて朝のラッシュ時に2車線が 確保されるといったお寒い状態。マイカーとバスによる 通勤交通は、ここで完全にマヒし、中心市街地に入るまで、歩行者並みの速度でノロノロ 運転という事態が毎朝繰り返されている。(p32-33)
 旧国道4号、現在は県道仙台泉線となっているが、昭和50年代は変則3車線で激しい渋滞が発生していたとのことだが、この道路は地下鉄南北線開業前の 1985年12月に現在の5車線の幅員に拡幅され、共用を開始した。(『みやぎの土木史』p13)
 しかし現在でも仙台市中心部と泉中央地区を結ぶ唯一の幹線道路のため朝夕を中心に激しい渋滞が発生している。地下鉄南北線を利用すればこの渋滞を回避す ることができるという点で、今日においてもその意義は非常に大きいと言えよう。


県道仙台泉線 杉ノ田交差点から上り線が3車線の5車線 となる(この辺)  2009.7

県道仙台泉線 上り線の左車線は7-9時はバス専用レー ンとなる(この辺)  2009.7

県道仙台泉線 仙台北郵便局前付近(この辺) 2009.7

県道仙台泉線 昭和町交差点付近 直進が愛宕上杉通(この辺) 2009.7

市がこれ まで発表してきた構想では、南北線のルートは七北田から、黒 松、旭ケ丘の団地群を抜け、北仙台駅、県庁を通り、仙台駅へ折れた後、長町を経て泉崎に至る。ラッシュ時には6両編成、150%の混雑率(乗車人員820人)として、3分半の間隔で運転すれば、1時間あたり約1万4,000人を運べるというのが 市の計算である。(p33)
 七北田は正式開業時には「八乙女駅」となり、同様に泉崎は「富沢駅」となった。6両編成については、各駅のホームが対応工事済みだが乗客数の推移を見る 限り、必要はあるまい。


八乙女駅 2009.7

富沢駅 2012.3

地下鉄建 設は市の意気込みとは裏腹に、まだ計画確定までに相当な紆余曲 折が予想される。この地下鉄計画をめぐって、仙台市と宮城県、それに泉市など周辺関係市町の調整が十分にできていないからである。地下鉄南北線の路線問題 について宮城県は古川市と岩沼市を 結ぶ都市間通勤高速鉄道を敷設するという構想があり、その一部として、仙台市内部を地下鉄として先行建設するととらえている。(p33)
 都市間高速鉄道の敷設の計画があったからこそ南北線は1,067mmの軌間が採用されたのだが、それは国鉄貨車直通輸送要請を考慮してのものであった。 (佐藤 悳「仙台市地下鉄南北線の開業をめぐって」『鉄道ピクトリアル』通巻第485号、1987年)

東西線が からむと話はもっと複雑になる。東西線はまだ全くの構想段階で あるが、東北新幹線の工事に際して、地下鉄の横断を予想して基礎が強化されるな ど、将来導入される見通しは強い。しかし東西線をめぐっては、市と県が全く異なる路線構想を持っている。県は国鉄仙石線のうち、都心部分を地下化して、仙 台駅の西側まで延長、都市高速鉄道としての機能を持たせるという構想を持つのに対し、市は東西線は、卸売団地を経て、仙台新港方向へ延びるものとし、 仙石 線とは別の新規路線という構想を持つ。さらに南北線とのドッキングの方法がまたさまざまで、ともかく地下鉄網全体の基本計画が定まるには、まだ相当の時間 と調整が必要となる。(p35)
 結局、東西線は市の構想が実現する形(但し仙台新港まで延びることは無さそうだが)で建設中だ。一方、仙石線の地下化と仙台駅の西側まで延長という県の 構想は連続立体交差事業によって実現している。都市高速鉄道としての機能を持たせるという点は、ダイヤ面で不満はあるもののそれに近い水準にあると言えそ うだ。

まだまだ 膨れる圏域人口と、未整備な交通手段というギャップの中で、仙 台市は、地下鉄建設重点的道路整備という2つの方策を採ろうとしている。うまくいけば、数年後の仙 台は、快適な地下鉄が郊外から都心へと人を運び、道路もネックのいくつかが解消され、流れがスムーズになっているかもしれない。(p36)

 1970年代後半の仙台は郊外に拡がる住宅地から中心部に向かう自動車・バスによる通勤交通が完全に麻痺しており、都市高速鉄道としての地下鉄が熱望さ れていたことが分かる。
 一方、1975年に全廃された仙台市電について今なお廃止を惜しむ意見がある。その論調の中には、西日本は現在も路面電車が残っている都市が多い のに対して、東北地方が全般的に東京に倣うことが多いとし、その一例 として都電が荒川線以外全廃されたため仙台市交通局は市電全廃へと急いでしまったというものがある(原 武史『鉄道ひとつばなし3』講談社現代新書、2011年)

 確かにそのような側面も多少あるのかもしれないが、まず指摘すべきなのは昭和30〜40年代に路面電車が廃止された東北地方の各都市(福島、秋田、花 巻)は、西日本 の路面電車が残る都市(広島、松山、長崎、熊本、鹿児島など)よりも都市規模が小さく、路面電車が維持できなかったのは当然だと思われる点がある。また 西日本でも呉、下関、北九州、福岡、大分など路面電車が全廃された都市は少なくなく、東北地方だけが東京に倣ったと言われがちなのは東北地方に対するあ る種の 偏見≠ェあるように感じられるのは、穿った見方だろうか。

 また仙台市電が上述のような通勤交通問題を解決する手段になりえたのかという点も考慮すべきであろう。仙台市電の路線網は南北方向は長町から北仙台ま で、東西方向は 陸前原ノ町から大崎八幡宮までの路線網を構築していたが、完全に旧市街地内を移動するための輸送機関であり、郊外と中心部を結ぶ需要には全く応えられない ものであった。も ちろん郊外に対して新線を建設し、既設の路面電車に乗り入れるというLRT的な路線網を構築することでそのような需要に対応することは可能であったかもし れないが、昭和40〜50年代の日本でそのような発想ができなかったのは至極当然なことではないか。仙台が東京という大都市に憧れて地下鉄を導入したとい う分析は、首都圏という大都市に住む人間の一方的な見方であろうし、路面電車を惜しむ意見もまたノスタルジー的側面からの趣味的なものにしか思えず、深刻な都市交通の問 題を解決 する手段として必要な交通機関は何だったのかという観点が欠如しているように思われる。



(2)南北線の各駅別乗車人員推 移の分析   
 現在仙台唯一の地下鉄である南北線の1日あたりの乗車人員は15〜16万人程度で地下鉄の路線としては全国でも少ない部類に属する。また下記の表からも 分かる通り、ここ数年は乗客数が微減傾向にあるのが気がかりだ。しかし2015年度開業を目指して現在建設が進む東 西線の開通によって地下鉄網のネットワークが強化されれば、利用者の増加がある程度は期待できるものと思われる。

■仙台市営地下鉄南北線の1日あたり乗車人員数の推移
営 業`
駅 名
1989 年
1992 年
1995年度 1997年度 2000年度 2003年度 2005年度 2007年度 2008年度
2009年度 2010年度 2012年度
8.5
泉 中央

16,089
19,329
20,593
22,145
22,383
23,204
23,516
23,453
23,059
22,199
23,998
7.3
八 乙女
16,217
14,972
10,456
10,690
9,680
8,773
8,677
8,377
8,152
7,595
7,297
7,616
6.0
黒 松
3,192
3,903
4,048
3,997
3,874
3,796
3,868
3,883
3,799
3,709
3,574
3,832
5.2
旭 ケ丘
7,789
10,008
9,631
9,057
8,218
7,621
7,428
7,162
7,050
6,703
6,373
6,526
4.2
台 原
5,491
6,604
6,764
6,293
5,979
5,696
5,461
5,373
5,214
5,038
5,622
5,438
3.1
北 仙台
6,129
6,842
7,365
7,231
7,235
6,880
6,793
6,743
6,594
6,400
6,480
6,884
1.9
北 四番丁
6,002
6,640
7,448
7,512
7,152
6,861
7,122
7,064
7,020
6,754
6,675
7,035
1.2
勾 当台公園
13,663
16,588
17,199
16,681
15,743
14,908
14,774
14,271
13,771
13,212
13,000
13,724
0.6
広 瀬通
9,194
9,972
10,841
10,601
10,047
10,027
10,056
9,904
9,699
9,370
9,319
10,214
0.0
仙 台
30,902
35,402
37,539
37,156
37,958
35,444
36,573
35,348
35,094
34,065
33,652
36,378
0.9
五 橋
5,363
5,831
6,339
6,152
5,733
5,457
5,424
5,428
5,439
5,380
5,654
6,144
1.5
愛 宕橋
2,426
2,512
2,235
2,139
2,000
1,882
1,873
1,813
1,783
1,729
1,757
2,025
2.4
河 原町
4,342
4,831
4,791
4,621
4,490
4,468
4,511
4,296
4,291
4,217
4,255
4,660
3.2
長 町一丁目
3,320
3,439
3,470
3,387
3,055
2,882
2,980
3,008
2,847
2,767
2,807
2,804
3.9
長 町
5,746
6,259
6,588
6,117
5,998
5,758
5,706
5,277
5,412
5,297
5,639
6,188
4.8
長 町南
4,725
6,414
7,422
9,324
11,052
10,879
11,271
10,734
10,463
10,504
10,860
11,492
6.3
富 沢
3,192
4,367
5,040
5,026
5,362
5,433
5,769
5,420
5,309
5,238
5,247
5,929
合 計 127,693
154,695
166,695
166,577
165,721
159,148
161,490
157,619
155,391
151,038
150,410
160,887
広瀬通〜泉中央間各駅
の平均乗車人員数

8,460
10,179
10,342
10,295
10,008
9,661
9,709
9,588
9,417
9,093
8,949
9,474
五橋〜富沢間各駅の
平均乗車人員数

4,159
4,808
5,126
5,252
5,384
5,251
5,362
5,140
5,078
5,019
5,174
5,606
(『仙台市統計書』より筆者作成)


■仙台市営地下鉄 進まぬバス・マイカーからのシフト 当初見込みの半分強 
(1997年10月2日付『交通新聞』2面)

 仙台市 営地下鉄(泉中央−富沢間15.4km)は今年7月で開業10年を迎えた。仙台市中心部の新しい交通手段と期待されたが、南北に結ぶルートのみで地下鉄の ネットワークが形成されていないこともあり、当初のもくろみ通りにはバスやマイカーから地下鉄へのシフトが進んでいない。このため、輸送実績は当初見込み の半分強にとどまっている。また、建設費2400億円のうち借入金1800億円の金利負担が収支を圧迫しており、累積損失解消もめどが立たないなど厳しい 状況だ。仙台市では2020年をめどに交通体系を確立しながら総合的な街づくりを進める考えだ。(吉池 威記者)

利便性に問題 待たれるネットワーク形成
 仙台市は昭和30年代後半から人口が急増し、それに伴い同市中心部に人の流れが集中。南北方向の大量輸送機関はバスや路面電車だったが、道路整備が不十 分だったため、中心部の交通渋滞、それによる所要時間の増大が都市生活に深 刻な影響を及ぼすようになった。
 このため同市は総合的な交通体系の整備を目指し、1963年(昭和38年)に「仙台市交通計画委員会」を設置。その後、運輸省の諮問機関である「仙台市 地方陸上交通審議会」が75年8月に「七北田周辺から仙台駅付近を経由して長町周辺に至る13kmの整備を急ぐ必要がある」と答申し、地下鉄建設が本格的 に始動した。
 同市は地下鉄を基幹交通と位置付け、南北線(13.6km)の事業免許を取得後、81年5月、建設に着手。87年7月に八乙女−富沢間を開業した。さら に仙台都市圏北部の副都心整備の一環として92年(平成4年)7月、1.2kmを延伸した。電車は4両編成で、1日上下線合わせて平日166本、休日は 142本を運転。1日16万8千人(96年度)が利用している。

 仙台市営地下鉄の特徴は、人件費がかからないシステムだ。例えば、乗務員は運転士のみのワンマン運転で、ホームは全駅ともカーブを無くして「死角」を作 らないようにした。
 これにより、運転台に設置したモニターにホームの様子が映る「対列車画像 伝送装置」を我が国で初めて導入。運転システム、事故防止などに当時としてはハイテクを駆使して、徹底した省力化を実現した。
 ただ輸送実績は当初(免許申請時)見込みの半分強にとどまっている。開業初年度である87年度は、1日平均22万5千人の利用を予想していたのに対し 11万3千人、96年度は28万6千人に対し16万4千人。仙台市交通局が「市民の足として定着してきた」と話すように開業以来利用者は年々増加してはい るが、そのペースは鈍く予想と現実の差は縮まらない。

 利用者の伸びが鈍いため収支状況にも響いている。96年度は営業収益120億4300万円(5.2%増)、営業費用は131億7千万円(1.8%減) で、11億2800万円の赤字を計上し、累積損失は622億5900万円に膨らんだ。これを5年ごとに運賃を改定して21年後の2018年度に解消したい という。
 交通局は「建設費2400億円のうち、1800億円の借入の金利負担や減価償却費が収支を圧迫している」と打ち明けながらも「単年度の赤字は年々縮小傾 向にある」として、PR活動などで需要を掘り起こすという。

 利用者の伸びが鈍いのはマイカー利用者などが地下鉄にシフトしていないのが原因だ。同市がまとめた交通機関のシェア調査によると、マ イカー=53%(83年度36%)、▽JR=11%(10%)、 ▽市バス=13%(19%)―で、地下鉄は12%にとどまっている。市バスは減少したが、マイカーは逆に シェアを伸ばしたことが分かる。道路整備が進んだことによるマイカー利用者の増加までは見込めなかったとしている。
 なぜ、利用者は地下鉄にシフトしないのか。これは初乗り200円と運賃が高いからとの指摘もあるが、それよりも利便性に問題があるという見方が強い。例 えば、地下鉄とバスのルートが一部重なりあっていたりするため、バス利用者が地下鉄に乗り換えればかえって不便になる。
 つまり、地下鉄は南北線1本のみで、ネットワークが形成されていないため、乗り換えが少ないバスの方が利用しやすいようだ。

 さらに「南北格差」といった問題もある。これは宅地開発な どが北部に集中しており、仙台以南利用者は全体の3割を占めるにすぎない。このため北部をさらに延伸する構想もあるが、より総合的に交通網整備を進める観 点から遅れそうだ。
 仙台市はこのほど、21世紀の街づくりをにらんだ「仙台市基本計画」の中間報告をまとめた。このうち「多様な都市活動を支える総合交通体系の形成」の中 で、▽東西交通軸構想の推進などを盛り込んだ公共交通機関の機能拡充、▽公共交通機関を重視した交通需要管理――など、総合的に整備していく方針を示し た。
 「東西線」構想は、仙台駅を中心に東部の卸町地区と南西部の八木山地区を結ぶ全線10〜13kmの区間で、2005年度の開業を目指すもの。1日10万 人の利用が見込まれる。今年4月、仙台市に「東西線建設準備室」が設置され、現在ルートなどを検討している。
 仙台から北東部に延びるJR仙石線の地下化工事が実現すれば「一部乗り換えがスムーズとなるため、相乗効果が期待できる」(JR東日本)といったように 地下鉄を軸とする交通網整備も徐々にではあるが、改善に向かい始めた。
 しかし、利用者を増やすためにサッカー場の建設など沿線の開発に頼っているのも事実。「脱・クルマ都市」の切り札として登場した市営地下鉄だが、バスや 他の交通網との結節が悪いため利用者を取り込めていないでいる、というのが開業10年を迎えた今日の姿のようだ。

■JR仙石線地下化 東西自由通路開通 地下鉄利用者増える 4-6月
仙台駅、3%台の増 喜ぶ市当局 8000万円増収のペース
(2000年8月7日付『河北新報』26面)

 仙台市交通局が6日までにまとめた4-6月の地下鉄利用状況によると、4月の地下鉄仙台駅利用者が123万人と前年同期比で約4万3千人(3.60%) 増えるなど、利用者数が増加した。3月にJR仙石線地下ルートが開業し、仙台駅地下の東西自由通路も全面開通した影響とみられる。4〜6月の全駅の利用者 は前年比0.76%増となり、全国で地下鉄利用者数が落ち込んでいる中、好調ぶりが目立っている。
 地下鉄仙台駅の利用者数は、5月が122万人(前年同期比3.65%増)、6月も118万人(3.16%増)と好調を維持。1日当たりの利用者は4万 33人に上った。
 また仙台駅の「北改札口」「南改札口」「仙石線口」から地下鉄仙台駅に入った利用者の割合は7対5対1で、「北改札口」と「南改札口」の割合が2対3 だった3月以前と比べ、利用者の流れが大きく変わった。
 4〜6月の全17駅の利用者は計1586万人に上り、前年同期より約12万人増えた。このペースが続けば、年間で8千万円の増収になる見込みで、4〜6 月の順調な伸びは「久しぶりの朗報」(仙台市交通局)だという。
 駅別では「仙台」が364万人で全駅利用者の22.96%とほぼ4分の1を占め、「泉中央」(13.83%)、「勾当台公園」(9.16%)などを大き く引き離している。
 市交通局高速電車部は「JR仙台駅東口から東西自由通路を通って地下鉄に乗った利用者も多いと推測される。新規客を含めた仙台駅の利用者増が、地下鉄全 線の利用者数を押し上げた」と分析している。

■年末年始 雪に強い地下鉄人気 利用者、前年比18万人の増
(2001年1月14日付『河北新報』22面)

 近年にない大雪の影響で、年末年始の仙台市地下鉄の利用者が前年と比べて約18万人(17.5%)増と大幅に伸びたことが13日までに、市交通局のまと めで分かった。雪の日もダイヤが乱れない地下鉄の特徴が評価され、人気が集まったとみられる。
 交通局は12月25日から今月9日までのうち、積雪が目立った7日間について、曜日などの条件を近付けて前年と比較した。

 なかでも市内の小中学校の3学期始業式と重なった9日は、前日に仙台市の降雪量としては史上5番目となる23センチを記録、積雪も29センチとなった影 響で23万6千人が利用した。昨年の始業式の日と比べて4万7千人(25.3%)多かった。
 次いで先月26日が22万2千人(24.0%増)に上るなど軒並み前年より伸び、最も利用者が少なかった3日でも伸び率は8.0%だった。
 7日間の利用者数は123万人で、前年の同期間より18万3千人増。1日平均では17万5千人で前年より2万6千人多く、1日当たり524万円の増収に なった計算だ。

 1999年度の1日平均利用者は16万3千人で、免許申請時に予測した99年度の1日平均30万人に遠く及ばない。開業当初から比べても5万人増えただ けだが、大雪に見舞われた年末年始は一挙に上積みされた形だ。
 交通局は「道路状況に左右されない市民の足として、信頼されている結果だ。この冬の大雪はまだ続きそうなので、利用者数はさらに増えるだろう」(高速電 車部)と話し、雪にうんざりしている市民とは対照的に表情は明るい。

■仙台市地下鉄きょう開業20周年 利用伸び悩む
(2007 年07月15日付『河北新報』)

 仙台市 地下鉄の南北線が15日、1987年の開業から20周年を迎えた。総乗車人員は11億人を超え、2008年度には単年度収支が黒字に転換する見通しだ。仙 台都市圏の貴重な足として定着した一方、近年の乗客数は伸び悩みの傾向にある。15年の地下鉄東西線開業を視野に、バス路線やマイカー利用者を含めた圏域 全体の交通政策の再構築が求められている。

●経営の推移
 20年間の平均乗車人員と単年度収支の推移はグラフの通り。順調に伸びてきた一日平均乗車人員は95年に約16万7000人を記録したが、以後は頭打ちとなり、ここ数年は微減に転じてい る。当初の需要予測(一日当たり)は約22万5000人で、20年後 には33万人を超える計画だったが、半分にも達していない。

 開業時、02年度を目標とした単年度収支の黒字化は、08年度にずれ込む見通しだ。借入金の利払いと減価償却費の減少で年々、赤字幅は縮小しているが、 乗客の伸び悩みが黒字転換を遅らせる要因になった。市交通局営業課の庄子清治課長は「人口の増加傾向が鈍化したのに加え、バスの乗り継ぎ客やマイカー利用 者を思うように呼び込むことができなかった」と説明する。

●沿線の開発
 南北線周辺の人口変動を見ると、市全域の人口の伸びが10%台なのに対し、沿線北部は30%強と 大幅に増加した。泉中央駅周辺にビルやマンションなどが立ち並んで副都心を形成。97年には、仙台スタジアム(現ユアテックスタジアム仙台)も完成して需 要増につながった。

 沿線北部と南部の利用者の比率は、7対3ほどとされ る。市南西部、名取市などの利用者の掘り起こしが進んでいない。あすと長町(太白区)の再開発や市立病院移転による効果を、どれだけ乗客増に結び付けられ るかが今後を占う。

 仙台市は、中心部への直行バス路線を減らして地下鉄への乗り継ぎ路線を強化するとともに、駅近くに駐車場を用意する「パークアンドライド」を推進中。乗 り継ぎの手間を軽減するため、IC乗車券の導入なども検討している。市都市整備局は「バスも含めた交通体系を見直し、乗り継ぎしやすい下地を再構築する必 要がある」(交通政策課)と話す。

●東西線の効果
 仙台市は南北線に続く地下鉄路線となる東西線について、15年度の開業を目指している。総事業費は2735億円で、今年2月に建設工事がスタートした。 東西線は、市内いずれの地域からも中心部に30分で移動できる、市の「アクセス30分構想」の実現に向けた骨格軸。基盤が整うことで、市は南北線への相乗 効果も大きいと見越す。東西線開業で、南北線の平均乗車人員は2万人増の18万人と予測する。
 東北大大学院情報科学研究科の徳永幸之・准教授(公共交通論)は、南北線について「20年間で着実に地域の足として定着しており、今後も底堅く需要が続 くだろう」と評価するとともに、「東西線建設で移動可能な範囲が広がれば、地下鉄を利用する市民も増える。集積度が低い都心の再生を一体で進めることが重 要だ」と指摘する。

[仙台市地下鉄]南北線は八乙女〜富沢駅(13.6キ ロ)が87年、全国の都市としては9番目の地下鉄として開業。92年には八乙女〜泉中央駅(1.2キロ)を延長した。03年、東西線の動物公園〜荒井駅 (13.9キロ)の建設事業が国から許可を受けた。


(3)南北線の設備改良   

■泉中央駅 キス・アンド・ライド マイカー送迎スペース拡大
交通渋滞緩和 決め手はこれ

(2001年3月31日付『河北新報』夕刊、3面)

 仙台市は市地下鉄泉中央駅周辺の交通混雑の解消に向け、抜本的な対策に着手した。出勤や帰宅時に車で送り迎えする「キス・アンド・ライド」の専用スペー スを新年度中に整備。現在1カ所しかない改札、出入り口を増やす駅改修工事も本格化させ、2004年頃の利用開始を目指す。仙台駅に次いで乗降客が多く、 1日約2万3千人が利用する泉中央駅は、市民から「ラッシュ時などの安全を確保してほしい」という声が上がっていた。

 泉中央駅では西側の出入り口付近に殺到する車から、通勤客や学生らが駅に向かう。東側バスプールからの利用者も合流し、1カ所しかない改札口は人の波で あふれ返る。
 送り迎えの車が集中する西側の車道には、駅寄りに30メートルの「キス・アンド・ライド」スペースがあるが、焼け石に水の状態だ。泉署交通課によると、 付近では毎月2、3件の接触事故が発生している。
 新しく設ける「キス・アンド・ライド」スペースは、現在の出入り口の北側約300メートルの場所に、泉区役所側が約100メートル、イズミティ21側は 約50メートルを確保。車道も片側1車線を、南進方向は2車線に拡幅する。工事は新年度内に終わる予定。

 現在の出入り口周辺の市道も04年に、今の片側2車線から北進だけ1車線に減らし、空いた車線分は南進側にバスの降車レーンを設ける。
 駅改修工事では、現在の改札口から約60メートル北側に改札口を増設。ホーム北端から新改札口につながる階段やエスカレーターも設ける。泉中央駅は仙 台、勾当台公園駅とともに、改札口が2カ所ある駅になる。

 新改札口からは地下連絡通路を泉区役所の敷地の角とイズミティ21のわきまで結び、出入り口を1カ所ずつ設置。「キス・アンド・ライド」スペースから連 絡通路で駅構内に行けるようにする。途中にも出入り口を1カ所設置する。
 市交通計画課は「ラッシュ時に集中する交通の流れを分散し、混雑緩和につなげたい。泉中央駅は今後も利用客が増加するとみられ、早めに対策を取りたい」 と話している。


■泉中央駅に新改札口 バスとの乗り継ぎスムーズ 仙台地下鉄
(2004 年12月01日付『河北新報』)

 仙台市 地下鉄泉中央駅(泉区)の新しい改札口が1日、使用開始された。出入り口も合わせて新設され、バスとの乗り継ぎもスムーズになった。通勤通学の利用客は 「バスを降りると、すぐに地下のコンコース。便利だし、雨や雪の日にもぬれなくて済みそう」と歓迎していた。

 新改札口は、既存の改札口の約50メートル北側に設置。午前7時半〜8時半のラッシュ時には乗降客全体の4割に当たる約2500人が利用し、混乱もなく 真新しい自動改札機を通過していた。
 新改札口の使用開始に合わせ、駅北側に新しく設置された「北1出入り口」も使用開始となったほか、列車の停止位置も約20メートル北に移動。富谷町など 北部から同駅に来るバスの降車場も北1出入り口の前に移された。

 新改札口を通った泉区の主婦川村美由紀さん(45)は「北側から来る人にとって大変便利。これからの季節は雪が降っても安心」と喜んでいた。
 市交通局は「新改札口の設置で人の流れが分散し、周辺の渋滞解消にもつながるはず」と期待している。

 泉中央駅は市地下鉄17駅のうち、仙台駅に次いで2番目に込み合う。市交通局は混雑解消のため、総事業費は約36億円で2001年5月に改札口と出入り 口の新設工事に着手。来春の使用開始を目指し、現在、「泉区役所前」「イズミティ21前」の新出入り口2カ所と泉中央駅〜泉区役所間の地下歩道の整備工事 が進められている。
使用開 始された仙台市地下鉄泉中央駅の新 改札口


■6両編成化凍結 仙台市地下鉄南北線
(2009 年02月19日付『河北新報』)

 仙台市 交通局が、地下鉄南北線の開業(1987年)時の事業計画に盛り込んだ6両編成での運行が事実上凍結となり、今後も4両編成のままで運行する見通しとなっ た。当初予想した朝ラッシュ時の混雑率が下がったのが要因とみられる。交通局は、駅の列車停車位置を車いすの障害者が利用しやすい場所に変更するなど、事 業の軸足をバリアフリー化に移している。

 南北線の車両1両の長さは約20メートル。開業時の計画に基づき、すべての駅ホームの長さは6両編成が停車できる約130メートルとなっている。市交通 局は6両化する基準として、朝ラッシュ時の平均混雑率(平日午前8〜9時、富沢行きの北仙台〜北4番丁間)が175%以上、と設定した。

 1995年度には181.0%に達したため、翌年度、21 編成のうち混雑時間帯に運行する7編成について、2003年度をめどに6両にする方針を打ち出 した。泉中央駅では、6両化に向けて留置線を延ばす改良工事を01〜04年度に実施し、約14億3000万円を費やした。しかし、02年度に200%を超 えると予想していた混雑率は、同年度158.0%にとどまった。07年度の混雑率は142.7%まで下がっている。このため、交通局は6両化を当面見送る とともに、昨年10月から12月にかけて、列車のホーム停車位置をこれまでの進行方向寄りから中央部分に変更した。

 停車位置の変更は、車内の車いすスペースとホームのエレベーターを近づけるのが目的。進行方向側のホームにできたすき間部分は、固定式の柵を移動するな どして対応した。
 交通局は、全駅に設置を計画している可動式ホームドアについても、変更後の停車位置に合わせて整備する。線路への乗客の転落事故を防ぐホームドアは、車 両の扉に合わせて自動開閉する設備で、今年10月に工事に着手し、10年3月までに完了する予定。

 6両化の見送りについて、保科学・交通事業管理者は「当面は車両を増やす状況にはない。だが、高齢化の進展で乗客数が増える可能性もある。将来的に6両 化を目指す方針は変えていない」と話している。

■仙台市地下鉄 ホーム柵で安全を確保 富沢駅きょう稼働
(2009 年10月17日付『河北新報』)

 仙台市 交通局は16日、地下鉄南北線全駅に本年度設置する可動式ホーム柵を、富沢駅(太白区)で報道関係者に公開した。最初となる同駅では17日に使用を始め る。

 設置した扉は4両編成の列車2本分の32基。柵の高さは1.3メートル、開口幅は2メートル。車両の扉と連動し、チャイム音と柵に付けられた表示灯の点 滅で開閉を知らせる。人や物を挟まないようセンサーも設置した。

 市交通局は総工費約21億円をかけ、全17駅に南の駅から順に工事を進める。最終の泉中央駅(泉区)の稼働は来年2月20日の予定だ。1987年7月の 開業以来、人身事故は31件発生。交通局施設課の馬目幸弘課長は「故意の飛び込みや、目や耳の不自由な人の列車接触の防止につながる」と話している。
安全柵が整備された富沢駅 2012.3




(4)南北線の利用促進策   

■仙台市地下鉄 パーク・アンド・ライド 来年1月から大型店が協力 「ザ・モール」の駐車場 128台分提供
定期券利用者 商品券購入が条件

(1998年11月20日付『河北新報』夕刊、3面)

 仙台市中心部へのマイカー乗り入れを減らそうと、市交通局は、太白区の大型店「ザ・モール仙台長町」と提携し、マイカー通勤者が同店駐車場に車を置いて 地下鉄に乗り換えることができる「パーク・アンド・ライド」システムを来年1月、導入する。地下鉄と大型店が協力するパーク・アンド・ライドは、全国初の 試み。新たな渋滞緩和策としてだけでなく、マイカー利用の市民をどれだけ公共交通機関に引き寄せられるか、成果が注目される。

 ザ・モール仙台長町は大型駐車場を持ち、真下には地下鉄長町南駅がある。新システムは、ザ・モールの駐車場128台分を、同店の商品券を購入した地下鉄 定期券利用者に提供するというものだ。
 パーク・アンド・ライド利用者向けの定期券を駅で購入、ザ・モールの1階サービスカウンターで、定期券1カ月分当たり1万円分の商品券を買うと、その期 間中の無料駐車票が交付される。
 通勤・通学客が対照のため、土曜、日曜、祝日とお盆、年末年始は利用できない。利用時間は午前7時から翌日午前0時半までと、店舗の営業時間を超えて駐 車できる。
 パーク・アンド・ライドは、都心部への車両流入規制策としてここ数年、欧米の地方都市などで導入が進んでいるが、国内の都市では駅周辺の駐車場用地不足 などから、いまひとつ普及していない。
 仙台市地下鉄でも、パーク・アンド・ライド用の大型駐車場が近くにある駅はほとんどなく、大型店の用地を利用する今回のシステムは、自治体が民間と協力 した駐車場確保策として注目を集めそうだ。
 仙台市南部から中心部に向かう幹線道路は、軒並み朝夕の渋滞が激しい。市交通局企画経理課は「マイカー利用が習慣化した人に、時間が正確な地下鉄の魅力 を見直してもらい、併せて増収や環境対策につながれば」と、効果に期待をかけている。
 パーク・アンド・ライド利用者向けの定期券は長町南駅のほか、仙台、勾当台公園の両駅でも発売する。12月16日から申し込みを受け付け、来年1月18 日から使用可能。

■長町南パークアンドライド苦戦 募集150台に申し込み36台
(2010 年04月09日付『河北新報』)

 仙台市 が、太白区長町南地区で実施するパークアンドライドの利用者が伸び悩んでいる。今年1月、150台分の駐車場を確保して募集を始めたが、8日現在の申し込 みはわずか36台。市交通局は「需要はあるはずで、なぜ申し込みが少ないのか分からない」と首をかしげ、今後PRに力を入れる考えだ。同地区のパークアン ドライドは、市地下鉄長町南駅に近接する商業施設「ララガーデン長町」に駐車し、地下鉄で市中心部に向かう通勤、通学者が対象。定期券を購入すると、駐車 料金が月額5000円になる。

 2004年に始まった地下鉄泉中央駅のパークアンドライドの場合、スタート時50台の駐車枠に対し、30台の申し込みがあった。その後も利用者は増え、 現在は220台がほぼ埋まっている。

 長町南地区も04年、ララガーデンの建設予定地でパークアンドライド(駐車枠114台)を実施。当時はほぼ満車だったという。着工に伴い、07年3月で 事業を休止していた。太白区は都市開発が進み、今後、市中心部に向かう道路は一層の混雑が予想される。交通局の担当者は「地下鉄の定時性やララガーデン長 町への保育所開設など利便性を訴え、利用を促したい」と話している。

 長町南地区のパークアンドライドは、地下鉄長町南駅の定期券発売所などで申込書を配布している。連絡先は市交通事業振興公社022(712)8335。



A東西線   

(1)東西線の計画から開業まで

■仙台市地下鉄東西線の関連年表
1979(昭54)年
学識経験者、建設省などによる仙台都市圏交通計画懇話会で、東西線計画 が公式に初めて提案される
1981(昭56)年
国鉄(現JR)仙石線と相互乗り入れによる仙台駅〜西公園ルート整備の 方針を固める
1985(昭60)〜86(昭61)年
南西線(モノレール)の原案作成
1987(昭62)年7月
南北線八乙女〜富沢間開業
1989(平1)年4月
仙台市が政令市に昇格
1991(平3)年3月
石井亨市長(当時)が仙石線の西公園延長の断念と、南西線を東部地域に 延ばすルート検討を表明
1992(平4)年7月
南北線が泉中央まで延伸
1993(平5)年7月
仙台市議会が東西交通軸促進調査特別委員会を設置
1995(平7)年3月
東西線建設促進期成同盟会が約19万人の署名を集め、建設促進を陳情
1996(平8)年2月
95年度までの八木山〜仙台駅〜卸町地区ルート調査結果に基づき、藤井 市長が東西一貫したルートによる整備方針を表明
1996(平8)〜97(平9)年
八木山〜仙台駅〜荒井地区のルート調査
1998(平10)年2月17日
学識経験者らによる街づくりと東西交通軸に関する懇談会が「2010年 度を目標に事業推進」と藤井市長に提言
1998(平10)年2月23日
藤井市長が東西線の2002年度免許申請、2004年度着工の目標を表 明
1998(平10)年8月20日
東西線のルート案公表
1999(平11)年4月23日
東北地方交通審議会の答申に東西線整備の必要性が位置付けられる
2000(平12)年1月11日
専門家による東西線機種等検討委員会が機種について「リニアモーター鉄 道が総合的に優れている」と検討結果をまとめる
2000(平12)年3月23日
東西線のルートと機種を正式決定
(2000年10月13日付『河北新報』18面)





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