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仙台都市圏の交通を考える 
3.仙台都市 圏の鉄道     by荷主 研究者 (仙台都市圏非在住)

ご意見、ご感想は掲示板へ。こち ら⇒ 「と はずがたりな掲示板」 仙 台・宮城・陸奥スレッド

目次
1.はじめに
2.仙台都市圏のあれこれ
3.仙台都市 圏の鉄道
 3−1.仙台都市圏の鉄道網
  @仙台都市圏の駅別乗車人員ランキングの分 析
  A仙台都市圏及び他都市圏の駅別乗車人員ラ ンキングの比較
  B仙台都市圏と他都市圏の快速列車網の比較
 3 −2.仙台都市圏のJR線
  @JR路線別の各駅乗車人員の推移の分析
  A新駅開業の影響を見る
  B新駅設置構想と戦前のガソリンカー駅
  C仙台駅の列車ダイヤの研究
  D東北本線の改良を考える
  E仙石線の改良を考える
  F仙 山線の改良を考える
  G常磐線の改良を考える
 3 −3.仙台市営地下鉄
  @南北線
  A東西線
 3 −4.仙台空港鉄道
  @計画から開業まで
  A1日平均乗降人員の推移
4.仙台都市圏の路線バス
5.仙台都市 圏の高速バス
6.仙台都市 圏の高速道路、自動車専用道路、地域高規格道路
7.仙台都市圏の都市計画道路
8.仙台塩釜港(仙台港区、塩釜 港区)
9.仙台空港
10. 仙台都市圏に関する資料

3−1.仙台都市圏の鉄道網


八乙女駅に進入する富沢駅行き列車  2009.7

早朝の仙台空港駅に佇むE721系仙台行き普通列車&と はずがたり  2007.5

@仙台都市圏の駅別乗車人員ランキングの分析    


 仙台都市圏の駅別乗車人員を下記の表の通り纏めた。1990年だけは年度では無いが、以後3〜4年おきごとに纏めてみた。15位までにしたのは他意はな い。何となくである。

■仙台都市圏の駅別1日あたり乗車人員(人)ランキング (太字が仙台市内駅、細字が仙台市外駅、がJR、が仙台市営地下鉄)

2012 年度 2010 年度 2009 年度
2007 年度
2005 年度
2003 年度
2001 年度
1998 年度
1994 年度
1990 年
1 位
(JR)仙台
80,171
(JR)仙台
74,672
(JR)仙台
77,146
(JR)仙台
78,915
(JR)仙台
76,723
(JR)仙台
76,001
(JR)仙台
76,649
(JR)仙台
97,549
(JR)仙台
96,554
(JR)仙台
84,260※4
2 位
(地 下鉄)仙台
36,378
(地 下鉄)仙台
33,652
(地 下鉄)仙台
34,065
(地 下鉄)仙台
35,348
(地 下鉄)仙台
36,573
(地 下鉄)仙台
35,444
(地 下鉄)仙台
37,755
(地下鉄)仙台
36,584
(地 下鉄)仙台
36,913
(地 下鉄)仙台
32,336
3 位
泉 中央
23,998
泉 中央
22,199
泉 中央
23,059
泉 中央
23,516
泉 中央
23,204
泉 中央
22,383
泉 中央
22,313
泉 中央
20,744
泉 中央
17,845
八 乙女
18,419
4 位
あおば通
19,441
あおば通
20,180
あおば通
21,155
あおば通
21,535
あおば通
21,200
あおば通
19,890
あおば通
19,884
勾 当台公園
16,073
勾 当台公園
17,074
勾 当台公園
14,872
5 位
勾 当台公園
13,724
勾 当台公園
13,000
勾 当台公園
13,212
勾 当台公園
14,271
勾 当台公園
14,774
勾 当台公園
14,908
勾 当台公園
15,645
八 乙女
10,394
広 瀬通
10,645
広 瀬通
9,141
6 位
長 町南
11,492
長 町南
10,860
長 町南
10,504
長 町南
10,734
長 町南
11,271
長 町南
10,879
長 町南
11,481
広 瀬通
10,167
八 乙女
10,530
旭ヶ 丘
8,596
7 位
名取
10,830
名取
10,085
名取
10,164
広 瀬通
9,904
広 瀬通
10,056
広 瀬通
10,027
広 瀬通
10,015
長 町南
10,102
旭ヶ 丘
9,806
岩沼
7,737
8 位 広 瀬通
10,214
広 瀬通
9,319
広 瀬通
9,370
南仙台
8,543
八 乙女
8,677
八 乙女
8,773
八 乙女
9,490
旭ヶ 丘
8,614
岩 沼
7,746
名 取
7,363
9 位 南仙台
9,105
南仙台
8,521
南仙台
8,652
八 乙女
8,377
南仙台
8,048
南仙台
7,775
旭ヶ 丘
7,956
多 賀城
7,864
名 取
7,574※3
多 賀城
6,989
10 位
八 乙女
7,616
八 乙女
7,297
八 乙女
7,595
名取
8,334
旭ヶ 丘
7,428
旭ヶ 丘
7,621
多 賀城
7,864
岩 沼
7,811※1
南仙台
7,444
北四番丁
6,729※5
11 位
北 四番丁
7,035
岩沼
6,743
岩沼
7,011
旭ヶ 丘
7,162
岩沼
7,198
多賀城
7,264
南仙台
7,557
南仙台
7,798
多賀城
7,320
(地 下鉄)北仙台
6,710※5
12 位
(JR)長町
7,006
北 四番丁
6,675
多賀城
6,781
岩沼
7,157
多賀城
7,195
岩沼
7,130
岩沼
7,257
名取
7,604※2
北 四番丁
7,371
南仙台
6,456※4
13 位
岩沼
6,933
(地 下鉄)北仙台
6,480
北 四番丁
6,754
多賀城
7,116
北 四番丁
7,122
(地 下鉄)北仙台
6,880
北 四番丁
7,130
(地 下鉄)北仙台
7,251
(地 下鉄)北仙台
7,235
台 原
6,623※5
14 位
(地 下鉄)北仙台
6,884
多賀城
6,389
旭ヶ 丘
6,703
北 四番丁
7,064
(地 下鉄)北仙台
6,793
北 四番丁
6,861
(地 下鉄)北仙台
7,020
北 四番丁
7,189
長 町南
7,006
長 町
6,183※5
15 位
旭ヶ 丘
6,526
(JR)長町
6,379
(JR)長町
6,562
(地 下鉄)北仙台
6,743
名取
6,719
名取
6,582
名取
6,545
台 原
5,920
台 原
6,705
五 橋
5,594

2012 年度 2010 年度 2009 年度 2007 年度 2005 年度 2003 年度 2001 年度 1998 年度 1994 年度 1990 年
JR東日本web、各自治体の統計書から筆者作成
※1 資料の入手ができず1996年度の乗車人員を採用
※2 1998年の乗車人員
※3 1996年の乗車人員
※4 JR仙台駅と南仙台駅は1990年度の乗車人員
※5 北四番丁、北仙台、台原、長町の4駅が1990年の統計では全くの同値で集計ミスの可能性があるため1991年の統計値を採用した。

 この表から読み取れることをとりあえず、列記しておく。
*泉中央駅は一貫して乗車数を伸ばし続けている。仙台北部の発展が伺える。
*地下鉄仙台駅や勾当台公園駅、広瀬通駅は完全に頭打ちからやや減少傾向にある。都心空洞化の表れとも読み取れるだけに気になる。
*旭ヶ丘駅のピークは短く、1994年前後から急激に乗車数を減らし続けている。これは駅周辺団地が高齢化して労働者人口や通学人口が減っているものと思 われる。
*多賀城駅や岩沼駅が伸び悩み近年は微減傾向を示す一方で、南仙台駅や名取駅が急成長している。名取駅は空港アクセス線の開業という事情があるが、南仙台 駅はまだまだ開発のポテンシャルがあったということか。
*長町南駅は1997年に駅直結で「ザ・モール仙台長町」という巨大ショッピングモールができたのをきっかけに大きく飛躍した。2009年は更に そのザ・モールに隣接して「ララガーデン長町」が開店するのだが、その影響は果たして?
*地下鉄北仙台駅が近年少しずつ乗客数を減らしている。JR北仙台駅はランク外なのだが、実は乗車人員は増加し続けており、1990年の2,174人から 2009年度は 4,304人に達した。そのため地下鉄とJRを合計した北仙台駅全体では増えている計算になる。これは仙山線が新駅設置や本数増加などの効果で利用客が増 えていることと、一部地下鉄利用者がJRにシ フトしていることも考えられる。


仙台〜長町間を走る福島行き普通列車  2012.3

本塩釜駅を出発するあおば通行き普通列車  2012.3


A仙台都市圏及び他都市圏の 駅別乗車人 員ランキングの比較    

 仙台都市圏の鉄道利用者数が同規模の他の都市圏(所謂札仙広福=jと比べてどのような水準にあるのかを考察してみたいのが、この項の目的である。仙台 都市圏には公営の地下鉄や第 三セクターの仙台空港鉄道は存在するものの、JR以外の民鉄≠ヘ存在しない。札幌都市圏も同様だが、札幌市内には路面電車が残り地下鉄網は仙台と比べる と相当整備が 進んでいる。広島は広島電鉄が市内に密なネットワークを築きJRやアストラムラインも含めてバリエーション豊かな交通網が整備され、福岡は何と言っても 大手民鉄≠フ西日本鉄道の存在とそのライバルのJR九州があり、地下鉄網も急速に整備されるなど、各都市圏はそれぞれ特色ある公共交通網を抱えている。 そんな中で仙台 は、鉄道が相対的に不便である、又は利用者が少ないといった印象を持たれがちな気がするのだが、 その辺のイメージをもう少し定量的 に比較してみようという試みである。
 その手段として、まずは各都市圏の駅別乗車人員の比較から始めてみよう。


札幌駅 2013.6

仙台駅 2012.3

広島駅 2008.6 (Wikipediaより転載)

博多駅 2013.4

■「札仙広福」における駅別1日あたり乗車人員(人)ランキング   (地)は地下鉄、(民)は民鉄を表す

札 幌市
(2007年度)
仙 台市
(2007年度)
広 島市
(2006年度)
福 岡市
(2008年)
1 位
札 幌(JR)
85,124
仙台+あおば通(JR)
100,450
広 島(JR)
70,162
博 多(JR)※2
115,429
2 位
さっ ぽろ(地)
80,197
仙台(地)
35,348
広 島駅(民)※1
16,897
西 鉄福岡(天神)(民)※3
69,434
3 位
大 通(地)
71,408
泉中央(地)
23,516
横 川(JR)
16,714
天 神(地)
58,749
4 位
麻 生(地)
20,920
勾当台公園(地)
14,271
五 日市(JR)
12,477
博 多(地)
55,238
5 位
新 さっぽろ(地)
18,562
長町南(地)
10,734
向 洋(JR)
9,787
福 岡空港(地)
20,057
各自治体の統計書等より筆者作成
※1 Wikipediaより広島電鉄広島駅の1999年度の乗降客数を便宜的に1/2とした
※2 WikipediaよりJR九州は2007年度、JR西日本は2006年度の合計
※3 2007年度の乗客数

 仙台駅とあおば通駅を1駅として合算して掲げているが、これはあおば通駅が仙石線の地下化に伴って仙台駅から分離して開設された経緯が あることを踏まえ、他都市圏と中心駅の乗車数を比較する際には実態にかなっていると考えてそうした。ちなみにあおば通駅開業前の仙石線仙台駅の乗車人員は 1日平均約3万6千人(1999年12月18日付『河北新報』1面)なので、仙台市営地下鉄仙台駅なみの利用客があったようだ。
 さてまず気付くのは、4都市とも全てJRの中心駅が乗車人員のトップであるという点だ。しかし仙台と福岡が10万〜11万人レベルに対し、札幌と広島は 7万〜8万人レベルで大きな差がある。
 これはJR線が市域を超えて路線網を構築しているという点から、仙台市と福岡市が市域外からの通勤通学客が多いことを示唆している。特に福岡の場合、西 鉄という大手民鉄の存在や筑肥線と直通運転をしていて市域外利 用者の多い福岡市営地下鉄の存在を考えると仙台市以上に市域外からの通勤通学需要が大きいことが予想される。
 一方、札幌市の場合は地下鉄の中心駅の乗車人員が仙台市や福岡市を大きく上回っていることに気付く。JRと地下鉄の札幌駅は共に8万人レベルで同水準で ある。 これは札 幌市では通勤通学客が市域内に住んでいる人が相対的に多いということに他ならない。広島市の場合は広島電鉄が路面電車であることや、JRが都心部を通って いな い点で比較しにくいが、「ひろしまシティ電車」という国鉄時代から地方における都市型ダイヤの先鞭をつけてきた栄光の歴史≠ェあるだけに、JRの利用者 がイメージよりも少ない印象だ。ちなみに広島電鉄の輸送人員{(注)乗車数 では無い!}は宮島線が4万9千人/日(2006年度)、広島市内軌道線が10万7千人/日(同)、広島高速交通が4万9千人/日(同)で あるから、これらの総利用者数は仙台市交通局の15〜16万人/日と同レベルであることを考慮しても、JRの利用者が少ない気がする。これは広島駅に乗客 が集中せずに横川駅や西広島駅(惜しくもランク外だが2006年度に9,205人/日の乗車人員がある)から広島電鉄に乗り換えて都心に向かう人が多いこ とが考えられる。
 さてここで、市域外からの通勤通学が多いことの目安として下記のデータを提示したい。昼間人口と夜間人口の差だ。当然市域には出入りがあり、一方的に 入ってくるだけでは無いので、その差がそのまま流入人口では無いが、ネット流入人口が多い方が市域を越えて周辺自治体から通勤通学客を多く集めていること は明らかだ。ここでは、「札仙広福」と参考までに所謂6大都市のデータも掲げた。

■「札仙広福」と6大都市の夜間人口と昼間人口の比較 (単位:千 人)

札 幌市
仙 台市
広 島市
福 岡市
東 京都区部
名 古屋市
大 阪市
横 浜市
京 都市
神 戸市
夜間人口
国勢調査 2005年10月1日
1,881
1,025
1,155
1,401
8,483
2,215
2,629
3,579
1,475
1,525
昼間人口
国勢調査 2005年10月1日
1,894
1,099
1,174
1,571
11,285
2,516
3,582
3,205
1,583
1,548
(昼 間人口)−(夜間人口)
13
74
19
170
2,802
301
953
-374
108
23
総務省「国勢調査(2005年10月1日)」より筆者作成

 さて、この結果を見れば分かる通り、福岡市が一桁多いレベルで周辺から流入していることが分かる。一方、札幌市は市単体の人口は全国第5位の大都市なの だが、流 入人口では上記都市の中では第9位になってしまう。これはつまり通勤通学者の大部分が札幌市内に居住していることが伺える。その結果として地下鉄の中心駅 の利用者があれほど多いのだ。尚、札幌市交通局 の地下鉄全線で見た場合、1日平均利用者数は現在約57万人(営業キロ48.0km)に対し、福岡市交通局のそれは約29万人(営業キロ29.8km)で やはり利用者数は札幌が大きく上回っており、営業キロに大きな差があるものの(つまりそれだけ市域内にネットワークを張り巡らす需要があるというこ とでもある)、都市圏内の輸送に占める地下鉄の割合が札幌の場合特に高いと言えよう。さらに広島市の流入人口の少なさも目に付くが、これは広島市との合併 が実現していない 府中町や海田町にはマツダの工場があり、これらの町へ広島市から通勤する人も多いなどの市域外流出があることや、やはり市域 外からの通勤通学客の流入が相対的に多くは無いことを示唆しているのではないかと思われる。
 仙台市は逆に人口規模はこれらの都市の中では最も少ないものの、市域外からの通勤通学者が相対的に多い傾向が伺える。これが仙台都市圏におけるJR仙台 駅 の突 出した乗車人員数になって現れているのだと言えよう。

 そのような札仙広福をそれぞれのJR代表駅の朝ラッシュ時に到着する列 車本数で比較したのが下記の2つの表である。

■札幌駅と仙台駅に到着する発駅別の列車(優等列車を除く)本数

札 幌 駅
仙 台 駅
線  名
函 館 本 線
下り
札  沼 線
上り
函 館 本 線
上り
千  歳 線
下り
東 北 本 線
下り
東 北 本 線
上り
仙  石 線
上り
仙  山 線
上り
7 時 台
小樽4
ほしみ1
手稲4



計 9本
石狩当別4





計 4本
岩見沢3
江別1




計 4本
苫小牧1
新千歳空港2
千歳1



計 4本
福島1
白石2
梁川1
原ノ町2
岩沼2
仙台空港2
計 10本
一ノ関1
石越1
小牛田1
松島1
利府2

計 6本
石巻2
高城町1
東塩釜5
小鶴新田1


計 9本
山形1
作並1
愛子2



計 4本
8 時 台
蘭越1
倶知安1
小樽5
ほしみ2
手稲4


計 13本
石狩当別2
あいの里公園2





計 4本
滝川2
岩見沢2
江別3




計 7本
苫小牧2
新千歳空港4





計 6本
福島1
白石1
いわき1
原ノ町1
山下1
岩沼4
仙台空港2
計 11本
一ノ関1
石越1
小牛田1
松島1
利府2


計 6本
石巻2
東塩釜8





計 10本
山形1
作並1
愛子1




計 3本
日  中
小樽4〜5
ほしみ1
手稲2

計7〜8本

石狩当別 など1〜2
あいの里公園1〜2


計3本

岩見沢2
江別3


計5本

新千歳空 港4
千歳2


計6本

白石など1〜2
原ノ町など1
仙台空港2〜3

計6〜7本

小牛田な ど1〜2
松島1〜2


計 3本
石巻2
東塩釜1
多賀城1
小鶴新田1
計 4〜5本
山形1
愛子2


計 3本
『JTB時刻表』2011年3月号より作成

*札幌駅は札沼線の本数が少ないのが目立つ。また函館本線と千歳線の上りの7時台が4本と少ないのが意外である。札幌駅は全般的に7時台と8時台のギャッ プが大きいように思われる。
*仙台駅はやはり仙山線の少なさが際立つ。またかつては仙石線が仙台圏のJR線では最大本数を誇ったが、仙台空港鉄道の開業に伴い東北本線仙台〜名取間の 本数が大幅に増えたため逆転している。

■広島駅と博多駅に到着する発駅別の列車(優等列車を除く)本数

広 島 駅
博 多 駅
線  名
山 陽 本 線
下り
呉   線
下り
芸  備 線
下り
山 陽 本 線
上り
可  部 線
上り
鹿 児 島 本 線
下り
篠  栗 線
下り
鹿 児 島 本 線
上り
筑  肥 線
上り
7 時 台
福山1
糸崎1
白市3
西条1


計 6本
糸崎1
竹原1
3
1


計 6本
三次2
狩留家1
下深川1



計 4本
柳井2
南岩国1
岩国3



計 6本
可部2
梅林1
緑井2



計 5本
門司港3
小倉2
福間3



計 8本
折尾2
直方2




計 4本
荒尾1
大牟田3
荒木2
久留米1
肥前山口1
基山1
計 9本
西唐津2
筑前深江1
筑前前原2



計 5本
8 時 台
和気1
糸崎2
白市2
西条1


計 6本
糸崎2
安浦1
2
2


計 7本
三次1
狩留家1
下深川1



計 3本
新山口1
徳山1
由宇1
南岩国1
岩国2
五日市4
計 10本
可部3
梅林1
緑井2



計 6本
門司港5
小倉3
福間2



計 10本
折尾1
直方1
篠栗4



計 6本
荒尾2
大牟田3
久留米1
肥前大浦2
二日市3
南福岡1
計 12本
西唐津3
唐津1
筑前深江1
筑前前原4


計 9本
日  中
糸崎2
白市2


計 4本
3
1


計 4本
三次1
狩留家1


計 2本
岩国など4



計 4本
可部3



計 3本
門司港3
小倉2
福間2

計 7本
折尾3
篠栗2


計 5本
荒尾2
荒木1
鳥栖3
二日市1
計 7本
西唐津な ど1
筑前前原3


計 4本
『JTB時刻表』2011年3月号より作成

*広島駅の山陽本線下りが意外と少ない。但し広島〜海田市間は呉線も全て乗り入れているため、実質的には7時台は計12本、8時台は計13本ということに なる。同様なことは札幌〜桑園間、札幌〜白石間、広島〜横川間、博多〜吉塚間でも言えるが、広島〜海田市間は複々線(客貨分離だが…)ということもあって 山陽本線の本数が多いという印象が従来から強い。
*博多駅は鹿児島本線の8時台の上りが計12本で札仙広福で最大となるほか、全般的に本数が他都市よりも多い傾向にある。

 一方、JR名古屋駅の場合、東海道本線の下りの到着本数は 8時台が計15本、中央本線の上りが同14本と「札仙広福」よりも一回り多い本数が見られ、三大都市圏との差の一端を 感じられる。
 逆にJR新潟駅の信越本線の下りの8時台は計7本JR静岡駅の東海道本線の上りが同8本JR岡山駅の山陽本線の上りが同6本と「札仙広福」よりも明らかに少ないレベルの本数であり、同じ政令指定都市 でも地方 中枢都市と地方中核都市では厳然とラッシュ時の輸送で差があるのが興味深いところである。

■「札仙広福」各都市圏における公共交通機関の特徴の纏め

長   所/強 み
短   所/課  題 
札  幌
都市圏
*JR北 海道の本社所在地であり都市圏内の充実したダイヤは三大都市圏に
近いレベルと言える
*充実した地下鉄網を構築
*JRと 地下鉄の駅の連絡が考慮されていない(新琴似と麻生、発寒・発寒中央と宮の沢)
*地下鉄はゴムタイヤ式の案内軌条方式を採用したためJRとの相互乗り入れが不可能
仙  台
都市圏
*仙台市 などの行政機関が軌道系交通機関を重視
*その結果、仙台空港鉄道や地下鉄東西線の建設や長町駅・多賀城駅の
の高架化、仙石線地下化などのインフラ投資が活発
*利用者数では広島空港と同レベルの仙台空港だが軌道系アクセスを確保
*経営体力のあるJR東日本の管内であることから設備投資などの面で一定
のレベルが確保できている(主な収益源である首都圏では無いのにも拘らず)
*JRの 本社所在地ではないことに加え、民鉄が存在しないことによる競争原理の欠如
資本蓄積の機会損失
*列車本数の少なさ(東北本線仙台以北、利府支線、仙山線、常磐線など)などダイヤ面
ではJR東日本は積極的な対応が不十分
*高速バスターミナルの不備
広  島
都市圏
*広島電 鉄による日本最大の路面電車ネットワークを維持
*実質的なLRT化が実現しており、新線建設計画などの積極経営
*JR線も都市圏内を放射状に拡がる路線網がある
*平野部が狭く人口が集中しやすいため道路渋滞が起きやすく、相対的に鉄
道の利便性が高い
*ここ数 年JR線で相次ぐ減量ダイヤ(日中を中心に運転本数の減少、 快速廃止、運転区
間の短縮など)の流れが止まらない状況
*同時に広島電鉄も宮島線で運転間隔の拡大、スピード低下などのサービスダウン実施
*JR西日本は広島地区への投資余力も投資意欲も少ないよう に感じられる
*結果、JR線は札仙福と比較して相対的に古い車両・設備が非常に目立つ
*行政機関は道路網(都市高速)の整備に重点を置きがちなため山陽本線海田市駅付近
の連続立体交差事業が大幅に遅延するなど鉄道へのインフラ投資が滞っている
*可部線、芸備線は地方交通線のため割高な運賃が適用
福  岡
都市圏
*大手民 鉄(=西鉄)の存在により福岡〜久留米〜大牟田間でJRと西鉄の間
健全な競争原理が働いている
*同時に上記区間においてJR・民鉄とも三大都市圏と遜色ないダイヤ
*札仙広福の中では唯一JRと地下鉄の相互乗り入れを実施
*日本最大級のバス会社である西鉄による充実かつ先進的なバス網を構築
(路線バス、高速バス共に)
*非電化 で残る香椎線の近代化
*経営環境が厳しい西鉄貝塚線、地下鉄箱崎線への乗り入れの実現は不透明


新札幌駅を発車する快速「エアポート」 2013.6

長町駅を発車する仙台空港鉄道のSAT721系 2012.3

路面電車、バス、クルマ、歩行者が錯綜する広島電鉄・立町電停界隈  2011.12

西鉄福岡駅に進入する急行電車  2013.4


B仙台都市圏と他都市圏の快速列車網の比較     
 都市圏の範囲をどのように捉えるのかは様々な定義があるのだが、快速列車の運転区間というのも1つの目安になると思われる。快速列車は通 勤通学や買い物など日常的に結び付きの強い都市間で運転されることが多いため、その運転区間が即ち都市圏の広がりと考えることができる。
 「札仙広福」の各都市圏においても、JR線には快速列車が設定されている線区は多く、都市圏の広さを比較する格好の材料となりうる。各都市圏ごとの快速 列車の運転範囲と運転本数、その他特色を纏めてみた。

■「札仙広福」におけるJR線の快速列車網の比較

札 幌 都 市 圏
仙 台 都 市 圏
広 島 都 市 圏
福 岡 都 市 圏
線  名
函 館本線
函 館本線
千 歳線
東 北本線
仙 石線
仙 山線
山 陽本線
山 陽本線
呉 線
芸 備線
鹿 児島本線
鹿 児島本線
篠 栗線
筑 肥線
区  間
札 幌〜小樽
札 幌〜岩見沢
札 幌〜新千歳
空港
仙 台〜福島
あおば通
〜石巻
仙 台〜山形
福 山〜広島
南 岩国〜広島
広 島〜広
広 島〜三次
博 多〜小倉
博 多〜荒尾
博 多〜直方
福岡空港
〜唐津
営 業`
33.8km
40.6km
46.6km
79.0km
50.2km
62.8km
103.0km
46.0km
33.2km
68.8km
67.2km
73.4km
47.4km
42.6km
評定速度
(最速)
63.4km/h
65.8km/h
77.7km/h
65.8km/h
46.3km/h
58.0km/h
39.1km/h
49.3km/h
47.4km/h
51.6km/h
57.6km/h
65.7km/h
49.9km/h
34.1km/h
所 要時間
32〜43 分
37 分
36 分
72〜76 分
65〜75 分
65〜81 分
158 分
56 分
42〜50 分
80〜86 分
約 70分
約 68分
約 58分
約 75分
日 中の
運転頻度
毎 時4本
毎 時1本
  +
江別止1本
毎 時4本
日 中無し
朝夕3往復
毎 時1本
8 往復
日 中無し
下り朝のみ
福山発1本
糸崎発1本
白市発1本

日 中無し
上り朝のみ
南岩国発1本
岩国発1本

30 分毎
日 中無し
朝夕4往復
毎 時3本
毎 時2本
 +
荒木止1本
毎 時2本
日 中無し
朝夕4往復
競合する
高速バス
(日中)
頻 発
15 分毎
15 分毎
毎 時2本
20〜
30分毎
15〜
20分毎
30 分毎
毎 時1本
15〜
20分毎
毎 時2〜
3本
頻 発
無 し
毎 時1本
30 分毎
備  考
い しかり
ライナー
い しかり
ライナー
エ アポート
仙 台シティ
ラビット


通 勤ライナー
通 勤ライナー
安 芸路
ライナー
み よし
ライナー
一 部門司港
行き

折 尾直通も
あり
一 部西唐津
行き
(『JTB時刻表』2013年7月号などを用いて作成、但し仙石線は東日本大震災の影響で一部区間不通のため被災前の2011年3月現在の ダイヤを参照)

 札幌都市圏は、相対的に快速のレベルが高いと言えそうで、運転頻度 や評定速度が高水準である。特に快速「エアポート」は空港アクセスの機能を担っているという事情があるにせよ、沿線の北広島や千歳などの利用者にも結果的 に高いサービスを提供していることになる。一方で、快速列車の運転範囲で見ると相対的に狭い範囲に収まっているとも言えそうで、札幌都市圏が仙台、広島、 福岡よりも広がりに欠けると言えよう。

 仙台都市圏は評定速度はまずまずだが、全般的に運転頻度が少ない。 仙台〜福島間と仙台〜山形間は高速バスに対して劣勢であるし、仙台〜福島間は新幹線を利用してもらいたいというJR東日本の思惑もあってか、快速列車の使 い勝手は良くない。仙石線は現在、東日本大震災の影響で一部不通のままで、快速は高城町止まりとなっている。仙石線の移設工事が完成した際には同時に東北 本線への乗り入れ線の開通も予定されており、仙台〜石巻間は快速で10分程度の時間短縮が期待されている。元々仙台〜石巻間は、高速バスよりも鉄道が優位 な地位にあったが、この復活と新線によって再び鉄道輸送がメインとなることが予想される。ただ競争原理を働かせるためにも、高速バスが踏ん張って欲しいと ころだ。また福島や山形といった隣接する県の県庁所在地まで快速 列車が運転されているというのは、広島や福岡には見られない特徴で、仙台、福島、山形の3都市の連携が仙台都市圏の発展のポイントになりそ うである。

 広島都市圏では、山陽本線が2009年3月ダイヤ改正以降に次々と 快速列車を廃止してしまい、今では朝の通勤ラッシュ時の「通勤ライナー」を残すだけとなってしまった。福山発の通勤ライナーは始発の5:40であり、実際 にこの列車を広島駅まで2時間半もかけて利用する人がどれだけいるのか疑問ではある。広島都市圏への流動という意味では、広島駅から営業`で 73.8km、快速列車の所要時間が76分の糸崎ぐらいが東端ではないだろうか。呉線の「安芸路ライナー」は快速列車としてまずまずのサービスレベルを維 持しているが、広島都市圏は全般的に減量ダイヤによって快速列車 のサービス水準が非常に低くなってしまったと言えるだろう。

 福岡都市圏も快速列車の水準は高い方だろうが、札幌都市圏と比べる と運転頻度や評定速度でやや見劣りする感じか。特に筑肥線は評定速度も遅いし、運転頻度も少ない。しかし例えば福岡〜北九州間はJR九州(在来線)、JR 西日本(新幹線)、西鉄(高速バス)が三つ巴の競争をしているし、福岡〜久留米・大牟田間はJR九州と西鉄が鉄道同士で激しい競争が繰り広げられるなど、競争原理が他の3都市と比べて最も強く働いている地域であろ う。


琴似駅に到着する快速「エアポート」 2013.6

仙台駅に停車する福島行き快速「仙台シティラビット」 2011.10

広島駅を発車する呉線列車 2011.12

久留米駅を発車する荒尾行き快速列車 2013.4


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