目 次 |
@計画から開業まで A1日平均乗降人員の推移 |
仙台空港駅 2007.5 |
仙台空港駅の改札口 2007.5 |
■開業2年遅れの2006年度 仙台空港アクセス鉄道 協議に時間、目標変更 (1999年8月21日付『読売新聞』) 県は20日、JR名取駅と仙台空港間の約7.2キロを結ぶ第三セクターによる「仙台空港アクセス鉄道」の開業が、これまでの予定より2年遅れて2006 年度中になると発表した。県議会建設企業常任委員会で渋谷恒土木部長が説明した。今年度中に第三セクターを設立して事業を進め、県の最重要プロジェクトと して最優先させ、これ以上は遅らせない方針だ。 開業は、当初2004年度中とされていたが、渋谷部長は@関係機関との協議に時間がかかるA名取駅周辺の市街地の地元調整B一部の区画整理事業の遅れ ――を理由に、開業目標を2006年度に変更すると説明した。 開業の遅れに伴い、事業に関する予測も修正され、開業時の利用者見込みは1日9500人から9700人に、三セクの事業費は377億円に、単年度収支が 黒字になるのはこれまでより1年早い開業12年目に、累積資金収支が黒字に転換するのはこれまでより2年早い開業27年目になるとした。 今後のスケジュールでは、年末の政府予算案の閣議決定を受け、来年3月までに三セクを設立、鉄道事業免許申請を行い、来年度から用地買収などの事業に着 手する予定。 |
■守ろう「地域の足」<22> 第4部 プロジェクト 仙台空港アクセス鉄道 沿線開発を刺激 通勤通学の利用者も期待 (2000年8月13日付『河北新報』22面) 18年度開業目指す 名取市のJR東北線名取駅と仙台空港を7.2キロのレールで結ぶ「仙台空港アクセス鉄道計画」。空港利用客の利便性を高め、国際空港としての機能強化を 図る事業費377億円の一大プロジェクトだ。 アクセス鉄道の建設、運営主体となる第3セクター「仙台空港鉄道株式会社」(社長・浅野史郎知事)は10日、運輸省に線路建設に必要な工事認可を申請し た。早ければ10月にも認可される見込みで、事業は平成18年度の開業に向けいよいよ動き出す。 完成すればJR仙台駅と空港は直結し、所要時間は快速で17分。現在はバスで40分ほどかかる「仙台市から遠い空港」も、一気に近い存在になる。 中間に2駅を新設 「都心直結」ばかりが注目されがちなアクセス鉄道だが、鉄道が建設される地元には「通勤通学がぐんと便利になる」という期待感が強い。名取駅と空港駅の 間に、「関下」「下増田」(いずれも仮称)の2駅が中間駅として設置されるからだ。 「関下駅ができれば、現在の最寄り駅の名取駅に行くよりも、半分以下の所要時間で済む」。関下駅の建設予定地近くに住み、関下まちづくり推進委員会の会 長を務める農業佐々木貢一さん(69)は喜ぶ。 名取駅までは直線で2キロほどしかないが、途中に幹線道路の国道4号があり、渋滞などで思いのほか時間がかかる。名取駅周辺には駐車場も少なく、使い勝 手は決して良くない。佐々木さんは「鉄道駅は簡単につくってもらえるものではない。名取が変わるきっかけになる」と語る。 県が予測するアクセス鉄道の利用者は、1日9700人(18年度)。このうち地元での利用者は3800人を見込んでいる。 「3800人」のハードルは意外に高い。例えば、仙台市地下鉄で同規模の利用者があるのは黒松駅(泉区)で、周囲には住宅が建ち並ぶ。アクセス鉄道の建 設ルートのほとんどは田園地帯。沿線開発が需要アップのカギになる。 「臨空都市」整備へ 県と名取市は、中間2駅を中心とした約190ヘクタールの土地に、「臨空都市」を形成する計画を進めている。航空機関連産業などを誘致し、ホテルやオ フィスを整備する計画だ。 名取市は、臨空都市づくりの中で駅周辺に十分なスペースを確保し、マイカーと鉄道を乗り継ぐ「パーク・アンド・ライド」の導入を検討するなど、交通拠点 づくりをもくろむ。 石川次夫市長は「中間駅に接続する道路整備の推進を図るなど、アクセス鉄道を起爆剤にして、市の交通網を充実させたい」と強調する。国道4号を挟み、東 部と西部の連絡が悪い市内の交通事情を改善する上でも、「名取にとってタイムリーな事業」(市幹部)という。 アクセス鉄道計画をめぐっては、岩沼市も「鉄道の岩沼延伸を推進す る」という文言を盛り込んだ確認書を県と交わしている。わず か7.2キロの新しいレールの誕生は、「地域の鉄道」として空港周辺の交通事情を一変させる可能性も秘めている。 |
■ツインシティを目指して 仙山圏のあした 2 第1部 空港鉄道で支援要請 共同歩調 (2002年2月28日『河北新報』3面) 利便性向上に期待 サッカーのワールドカップ(W杯)で、イタリアチームの仙台キャンプが正式決定した昨年12月4日。松木伸一郎宮城県副知事は、高橋和雄山形県知事と向 き合っていた。山形県庁の応接室で約1時間。師走にしては穏やかな日だった。 松木副知事 「仙台空港を名実共に東北の国際空港とするために、アクセス鉄道計画に支援をお願いしたい」 高橋知事 「山形、宮城両県が共同で取り組む課題は多く、協力に異論はない。今後、改めて検討させていただきたい」 会談のテーマは、仙台空港とJR東北線名取駅とを結ぶアクセス鉄道「仙台空港線」(7.2キロ)。計画主体の宮城県が、事業の運営母体となる第三セク ター「仙台空港鉄道」に出資を要請した一幕だった。 山形にとっては、他県の公共投資に支援を要請されるという構図。県民の理解が不可欠だが、仙台空港の国際線利用者のうち、山形県民の割合が13%に上るという国の統計もある。松木副知事は「山 形では、仙台空港の利便性向上への期待が強い。協力に前向きな姿勢が感じられた」と語る。 山形は前向き姿勢 交渉がさしたる波風も立たずに始まった背景には、ある仙山人≠ノよる橋渡しがあった。シンクタンク「東北地域環境研究室」(仙台市青葉区)の志賀秀一 室長。昨年秋、宮城県幹部から「山形側に協力を要請したい」と相談を受けた。 銀行マンから転身し、かつて観光施設「山寺風雅の国」(山形市)の経営にも携わった志賀室長。早速、旧知の山形県幹部に会い、宮城側の考えを伝えた。 返ってきた答えは「ぜひ進めるべきだ」だった。 出資について、高橋知事は「(宮城県とは)経済交流が盛んになっており、県民の理解は得られるはずだ」と踏む。もちろん、注文もある。「宮城県は連携の 基盤強化に、本気で取り組んでほしい」 在来線強化に課題 例に挙げるのが、JR仙山線の機能強化だ。2006年度開業予定のアクセス鉄道は、仙台空港〜JR仙台駅間を最短17分(快速)で結ぶ。これで、仙台空 港とJR山形駅が鉄道でつながるものの、仙山線が単線である限り大幅な時間短縮は望めない。 山形県側が期待する仙山線の高度化については、国土交通省が2000年に試算を出している。 同省によると、現状のまま仙山線の快速列車に乗って仙台駅でアクセス鉄道に乗り換えた場合、仙台空港〜山形駅間は88分。山形発仙台空港行きの高速バス (1日4往復)の所要時間(約80分)と、さほど変わらない。 これに対し、仙台駅ホームを改良し相互直通運転を実施する と、78分(事業費1億円)に短縮できる。さらに@仙台〜愛子駅間を全線複 線化、A県境地域に新トンネルを建設、B振り子列車の導入―などを加えると、事業費は832億円に上るが、63分までスピードアップでき る。 だが、仙山線の機能強化をめぐっては、山形側に比べ宮城側は「淡泊だったと言わざるを得ない」(浅野史郎知事)のが実情だ。 アクセス鉄道計画では、将来への「レール」が敷かれつつある仙山圏。もう一段の広域連携を進めるためには、仙山線という「既存のレール」に対する両県の 温度差を縮めることが課題となっている。 |
仙台駅の仙台空港鉄道ホーム(3番線) 2007.5 |
2007
年度 |
2008
年度 |
2009
年度 |
2010
年度 |
2011
年度 |
2012
年度 |
|
杜
せきのした |
3,016 |
2,580 |
2,383 |
2,346 |
1,928 |
2,743 |
美
田園 |
240 |
458 |
537 |
610 |
494 |
736 |
仙
台空港 |
3,695 |
3,472 |
3,458 |
3,330 |
2,012 |
3,705 |
合
計 |
6,951 |
6,509 |
6,377 |
6,286 |
4,434 |
7,184 |